教育は「詰め込み」から「ゆとり」へ

1980年に新たな学習指導要領が実施され、それまで延々と続いていた「詰め込み教育」脱却のため、今度は「ゆとり教育」目指し次々と同傾向の施策は行われていくことになっていきました。1992年には「月一回の週5日制」、2002年には「完全週5日制」へとその歩を進めていきました。これは、産業界が先行し、教育界もそれを追いかけるように実施されていったと言えるのかもしれません。まるで、世の中の高度成長期に呼応するかのように「過密授業」を導入していった昔と何か似たところがあるように思えてなりません。ところが塾に関しては、その頃から言われ始めた「乱塾」が未だ続いている、というよりむしろその頃以上にその競争は激しさを増していくのです。「ゆとり教育」は、有名進学校への入学、一流企業への就職というエリートコースを子供に期待する親にとっては、以前にも増して塾への依存を増していく起爆剤になったのかもしれません。塾業界もその風潮に敏感に反応し、次々と他塾との差別化を図るような手立てを考えていくようになっていきました。乱塾時代始まりとなる1976年発表された通塾率は26%(小学6年生)と言われていたものが、2013年には、何と50%をわずかに下回る程度までに進んでいたのです。まさに、ゆとりを目指すはずの新指導要領が、結果的には子供たちにとっては逆方向への追い風となっていったのです。そうなると、これまで塾に対して、無視を決め込んでいた文部省も見過ごすことが出来ないとばかりに、1999年文部省の諮問機関「生涯学習審議会」の答申をうけ、とうとう学校と塾の共存を認める形となっていったと言われています。