民間教育産業が「財閥化」する

塾や教育関連企業の提携は、一般の被教育者やその保護者にどんな影響を与えうるのでしょうか?
某塾コンサルタントの話によると、「子どもが通っている塾がある日突然M&A騒動に巻きこまれたとしても、心配することはない」そうです。
財務基盤の強化によって、塾の倒産のリスクが減り、顧客は安心して塾に通えるようになります。
しかも、規模の原理が働くので、高品質化したサービスをより安価で受けることができる可能性が広がる」というのです。
ただし、ベネッセ、 Z会、学研という巨大教育産業3社が、広く深く塾業界に進出していることからも、もはや塾という単純なくくりでは業界を説明できなくなってきています。
広く民間教育産業として、教室事業もあれば通信教育事業も教育出版事業もあるという事業展開が、今後も進むでしょう。
今はまだ、提携の触手を伸ばしてはそれを解消するなど、手探りの状態が続いているが、 しばらくすると提携合戦も落ち着いてくることが予測されます。
さらに顧客の囲いこみが進むと、ベネッセグループ、 Z会グループ、学研グループ、もしくは東進グループ、代ゼミグルー プ、河合塾グループ、駿台グループと、いくつかの巨大教育産業グループが形成され、かつての財閥のような様相を呈するかもしれません。
そうなればそれぞれのグループのカラーも明確に差別化されるようになるでしょう。

例えば、Z会の通信教育を始めれば、 Z会系の塾に入り、Z会系の参考書を使い、Z会という教育システムの中で大半の教育を受けることになるという時代がやってくるかもしれません。
また、大学附属の学校をあがっていくことを「エスカレータ式進学」といいますが、、塾においても「エスカレータ式」が広まるかもしれません。
そして将来的には、公立の学校を選ぶのか、私立の学校を選ぶのか、大学附属の学校を選ぶのか、進学校を選ぶのか、という選択に、どの民間教育システムを選ぶのかという選択が加わるかもしれません。